はじめに
「未来の移動」と聞くと、SFの世界の出来事のように感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、その未来が、ここ三重県四日市市で現実になりつつあります。テクノロジーの総合商社であるマクニカが中心となり、自動運転EVバスの実証実験を推進しているのです。これは単なる技術検証にとどまらず、街の活性化や人々の暮らしを豊かにすることを目指す、壮大なプロジェクトと考えられます。
近鉄四日市駅からJR四日市駅を結ぶ「中央通り」は、今後大きく生まれ変わると言われています。この新しい中央通りに、未来の公共交通機関として自動運転EVバスを定常運行させる計画に向け、2026年8月5日(水)から10月4日(日)まで、第7回目の実証実験が実施されています。本記事では、この実証実験の詳細と、未来のバスが四日市の街にもたらす可能性についてご紹介します。
進化する自動運転EVバスの「賢さ」
今回の実証実験では、これまでの経験を活かし、より実践的な内容が盛り込まれています。自動運転EVバスがまるで人間のように周囲を認識し、判断する能力を高めている点に注目が集まっています。
- 信号交差点の賢い通行判断: バスに搭載されたカメラで信号の色や残りの秒数を認識し、自動で通行判断を行います。これは、熟練ドライバーが目視で信号を確認する感覚に近いと言えるでしょう。
- 後方車両を検知して本線へ合流: バス停からの発進時、後方から来る一般車両を検知し、安全かつスムーズな本線合流を可能にします。これにより、交通の流れが円滑になり、渋滞緩和にも繋がる可能性があります。
- 夜間・夏季の運行もバッチリ: 夜間の走行安全性や、暑い夏の日のバッテリー、空調の稼働状況まで検証されます。現実の多様な運行環境に対応できるバスを目指していることがうかがえます。

まるで未来の公共交通機関。街に溶け込む自動運転EVバスのイメージ。
利用者の利便性を追求した取り組み
どんなに技術が進歩しても、利用者が使いにくいと感じてしまっては意味がありません。今回の実証実験では、乗車方法においても利用者の利便性を追求した取り組みが行われています。
- スマートな電子チケット: スマートフォン一つで乗車できる電子チケットが試験導入されています。これにより、小銭の準備や切符購入の手間が省け、よりスムーズな乗降が期待できます。
- 「紙の乗車券」も忘れずに: スマートフォンをお持ちでない方でも安心して利用できるよう、これまで通り紙の乗車券でも乗車が可能です。デジタルデバイド(情報格差)への配慮もされており、誰もが利用できる公共交通機関を目指していることが感じられます。
未来を支える強力なパートナーシップ
自動運転EVバスの実現は、一つの企業の力だけで成し遂げられるものではありません。様々な専門性を持つ企業が協力し合うことで、より確実な未来が築かれています。
- マクニカ: プロジェクト全体の「司令塔」として、自動運転移動サービスに関する豊富な実績を活かし、準備から運営、効果検証までを一手に担っています。中央通りの回遊性向上や賑わい創出にも力を入れており、バスの車内モニターで地域のコンテンツを放映したり、大四日市まつりでのEVバス展示を通じて地域住民、特に子どもたちに自動運転を身近に感じてもらう機会を提供しているそうです。四日市市の「こどもみらいクーポン事業 おためし版」とも連携し、未来の技術に触れるきっかけ作りにも貢献していると考えられます。

大四日市まつりでのEVバス展示。地域の皆さんが未来の乗り物を間近に体験。
- 三重交通・三岐鉄道: バス運行のプロとして、運行状況を遠隔で監視する役割を担っています。マクニカが開発した遠隔運行管理システム「everfleet2」を使用し、車両の位置情報や車内外のカメラ映像、車速、バッテリー残量といった詳細なデータをリアルタイムで把握しているとのことです。将来的に一人の遠隔監視者が複数の車両を管理できるようになれば、交通分野の担い手不足という社会課題の解決にも貢献する可能性があるでしょう。

マクニカの遠隔運行管理システム「everfleet」。安全な自動運転を支える心臓部。
- KDDI: 自動運転システムには安定した通信環境が不可欠です。KDDIは、安全かつ円滑な走行を支える通信環境の構築・提供を行うことで、自動運転バスがその「賢さ」を最大限に発揮できるよう支援しています。
「EVO3」:四日市を走る未来のバス
今回の実証実験で活躍するのは、Navya Mobility社製の自動運転EVバス「EVO3」です。
- サイズ感: 全長4.78m、全幅2.17m、全高2.72mと、一般的な路線バスよりもコンパクトで、街中での小回りが利きやすい印象です。
- 定員: 実証実験では乗客7名、オペレーター1名、保安員1名の計9名が乗車可能です。
- エコフレンドリー: EV(電気自動車)のため排気ガスはゼロです。1回の充電で約9時間(100km)の自動走行が可能であり、環境にも優しい設計と言えるでしょう。
- 最高速度: 約18km/h(運行時は平均15km/h程度)で、ゆったりと街並みを眺めながら移動するのに最適な速度設定と考えられます。
- 自動運転レベル: 「レベル4」に対応しているものの、今回の実証実験では安全を考慮し「レベル2」で運行されます。緊急時には同乗のオペレーターが手動で介入する体制が取られています。
あなたも体験!実証実験の概要
「私もこの未来のバスに乗ってみたい!」そう思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。実証実験期間中であれば、皆さんも実際に乗車して未来の移動を体験できます。
- 実施期間: 2026年8月5日(水)~10月4日(日)
- 運行日: 月・火曜日を除く毎日(水・木・金・土・日曜日)
- 運行時間: 昼間便: 12時30分~16時13分(7便/水・木・金・土・日曜日)、夜間便: 19時30分~21時21分(4便/木・金・土曜日)
- 走行ルート: 近鉄四日市駅東~市役所~JR四日市駅(片道約1km)
- 乗車方法: 専用アプリをダウンロード・利用登録して電子チケットを使用するか、スマートフォンをお持ちでない方は紙の乗車券でも乗車できます。事前予約は不要で、乗車料金は無料です。

近鉄四日市駅からJR四日市駅まで、約1kmのルートで未来を体験!
また、四日市市立の小中学校に通うお子さんをお持ちの方には、「こどもみらいクーポン事業 おためし版」との連携も朗報です。実証実験への参加や乗車でポイントがもらえ、クーポンに交換できるとのことですので、ぜひこの機会にお子さんと一緒に未来のバスを体験してみてはいかがでしょうか。
四日市の未来が、ここから始まる
今回の実証実験は、単に自動運転の技術を試すだけではありません。四日市市の中央通りが、自動運転EVバスによってどのように活性化され、人々の生活が豊かになるか、その可能性を模索する壮大なプロジェクトと言えるでしょう。
マクニカをはじめとする関係各社が、それぞれの強みを持ち寄り、この街の未来を真剣に考えていることが伝わってきました。持続可能な移動サービスが当たり前になり、誰もが快適に移動し、街の賑わいが生まれる日も、そう遠くないと考えられます。
もし四日市市を訪れる機会があれば、ぜひこの自動運転EVバスに乗って、一足先に「未来」を体験してみてください。きっと、新しい発見があるはずです。
株式会社マクニカについて
マクニカは、半導体やサイバーセキュリティを核に、AIやIoT、自動運転といった最先端テクノロジーの発掘・提案・実装を手掛けるサービス・ソリューションカンパニーです。50年以上の歴史とグローバルネットワークを活かし、世界33か国/地域100拠点で事業を展開しています。